プロローグ

(株)EM研究機構の最新技術導入

(株)EM研究機構の皆さん
左から

長本咲希さん
吉川太朗さん
新谷正樹さん
奥本秀一さん

 この度、(株)EM研究機構は当社と(有)太陽商会との3社共同で、木質材を炭化する装置を当社の敷地内に立ち上げ、2019年(令和元年)5月より正式にシステム稼働しています。このシステムは、「EMグラビトロン炭化システム(EM Gravitoron Carbonizer System)」と命名されました。グラビトロンとは、最新のEM技術「EM重力子(グラビトン)技術」から生まれた造語です。EMの開発者 比嘉照夫琉球大学名誉教授によって命名されました。
※EM重力子(グラビトン)とは、EMの持つ重力波整流機能で、究極の農法である不耕起、無化学肥料、無農薬、多収高品質で永続的で、空気や水の浄化力、地下水の浄化機能を持つ農業のこと。~Web Ecopure EM環境マガジン「比嘉照夫 新・夢に生きる 第138回 炭の多様性の応用」より引用~
 先人の知恵である炭の土壌改良効果(物理性、化学性、生物性)は、土壌中の微生物を活性化させ、多様化させ、生態系を豊かにする資材として知られています。更にEMと併用することで炭の機能性を持続し、作物が健全に育ち、病害虫の発生が抑えられ、品質の高い農産物の生産が期待されます。
 (株)EM研究機構では、これらのことを検証するプロジェクトを発足させ、当社りんご園の西側圃場を借りて本システムで製造したEM炭(正式名称:EMグラビトロン炭)を活用した試験栽培をこの春から始めることになりました。(株)EM研究機構からのプロジェクトメンバーは、次の方々です。

  • 吉川太朗さん プロジェクトリーダー
    • 研究部 技術開発課
  • 新谷正樹さん
    • 医学博士 取締役
  • 奥本秀一さん
    • 研究部 兼 復興支援プロジェクト
    • 博士(工学) 樹木医
  • 長本咲希さん
    • 研究部

 本プロジェクトの1年間をエピソードを交えて綴って参ります。

エピソード1

4月6日 EM炭施用
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 EM炭を施用するエリアは、りんご園の西側の緩やかな勾配に面しており、りんご園の中では低地に位置しています。ここでは主にシナノゴールドや若木のふじを栽培しています。
 今回、このエリアを9区に分割し、各区割り毎にEM炭の投入量を変えたり、当社の農業用有機質肥料コスモグリーンを混用したりするなどの条件を割り振り、リンゴの幹から半径約40cmの範囲にこれらを投入しました。
 炭は、組織が細い空洞からなる多孔質構造で吸着性に優れていることから、EMに含まれる有用な発酵系微生物たちはこの中で長く定着し、雨で流失することなく、有機物をエサに微生物たちが長い間活動し続けられる環境を整えるのが狙いです。土中のpHとEC(電気伝導率)、抵抗を計測しながらリンゴの生育を観察して行きます。特に、シナノゴールドは病害虫により2年連続不作であったことから今後の生育に注目です。

エピソード2

5月16日 電気伝導計測
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 EM炭の施用から1ヶ月経過し、試験エリアにあるシナノゴールドは花が満開になりました。5月の爽やかな晴天の下、地面に向かって何やら見つめています。赤と黄の導線が地面に刺さった杭に繋がった先にあるのは電気伝導を測る装置でした。土壌の整流レベルを計測して記録を取っていたのです。農業は、電子化学の知識も必要なんですね。
 この日は、実験区ごとの試験内容を記した表示札も取り付けました。

エピソード3

5月17日 EMの開発者 比嘉照夫 琉球大学名誉教授ご訪問
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 この日は、EMグラビトロン炭化システムの落成式が開催され、比嘉照夫教授、(株)EM生活代表取締役 比嘉新社長らがご来訪下さいました。式の終了後、りんご園のEM炭を施用した試験エリアの見学に来て下さいました。比嘉照夫教授は、このエリアを見るなり「整流レベルは大変良い」と上機嫌で、今回施用したEM炭を「試験エリア全面に厚さ10㎝まで敷き詰めても構わない」とのアドバイスを頂きました。また、リンゴが収穫される11月には近隣の農家さんもお呼びして、比嘉照夫教授を交えたプロジェクト報告会と収穫祭をする提案を受けました。

エピソード4

6月12日 EM炭ベルト地帯

新メンバー (株)EM研究機構
研究部 齋藤沙さん

 
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 今回は、いつもの試験圃場を離れりんご園の東側圃場での作業です。ここは試験圃場と比べ3倍程の面積に果樹が立ち並ぶ一大栽培エリアです。ここになんとEM炭によるベルト地帯を施すと言うのです。EM炭の施用エリアを拡大し密度を高めて栽培における効果を観察するのです。そのベルト地帯に選んだのが主力品種のひとつジョナゴールドの栽培エリアの1列で長さは約90mになります。この列の手前には樹勢の悪い木が幾本かあり以前から気にかけていました。
 早速、運搬車にEM炭を積み込みスコップで丁寧にEM炭を敷き詰めました。今回からEM研究機構の齋藤沙さんが加わりました。EM炭は軽いので女性の力でも楽々作業です。
 作業は予定通り終了。今後は生育状況を見ながらEM炭ベルト地帯を更に増やす予定です。これから高温多湿の時期を迎えます。EM炭の計り知れない効果に期待です。

 

エピソード5

7月30日 感動の夏
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 東北地方も梅雨が明け連日の猛暑。この日は、(株)EM研究機構の新谷さんと齋藤さんに同行して(株)EM生活 企画課課長 岩瀬尉司さん(写真)がご来訪下さいました。岩瀬さんは、長野県でEMを活用したリンゴ栽培に取り組んでいる方で、当園の化成肥料・農薬に一切頼らない取り組みに興味を示し見学に来られました。折角なので試験圃場でEM炭施工エリアの草取りとシナノゴールドの摘果作業を手伝って頂きました。当園の取り組みスタイルに一生懸命メモを取り、アマガエルやテントウムシなど生き物が沢山いる環境の中での作業に「気持ちイイ!最高!」と大変感動していました。頭で無理と考えていたリンゴの有機栽培は「やれば出来るという確信を持てた」と言っていました。因みに岩瀬さんを癒したアマガエルですが、当園の水源である溜池で誕生したオタマジャクシがカエルとなって園内を自由に飛び跳ね、厄介な害虫を食べてくれるとても頼もしい存在です。EM研究機構の齋藤さんは、このアマガエル達を踏み付けないようにそろりそろりと歩いていました。なんて優しんでしょう!感動!!

エピソード6

10月14日 雨ニモマケズ風ニモマケズ
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 台風19号が13日未明に最接近し、初の大雨特別警報が発表されるなど各地に大きな爪痕を残しました。ここ花巻市では最大瞬間風速27.8mを観測し、当園から北へ約6km離れた場所では高さ約14mの電柱が350mにわたり8本倒れるなどの被害がありました。岩手県内の主要リンゴ産地では被害が報告されていますが、幸いなことに当園は想定を下回る被害で済みました。試験圃場のシナノゴールドは、ポロポロと落果していました。拾い集めたところ約60kgとなり猛烈な風雨のわりに被害は少なかったと見ています。よくぞ耐え抜いてくれました。落果は免れても傷ついてないか心配ですが、あと1週間程で収穫です。

エピソード7

11月1日 誕生
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 3年ぶりの収穫です。8月までは概ね順調に育ち、秋雨による病気の蔓延や害虫、台風被害になんとか耐え抜いてくれました。しかも今年は、世界初のEM炭を施肥して栽培したオンリーワンのシナノゴールドがここに誕生した記念すべき年となりました。この貴重な経験が今後に活かされることでしょう。

エピソード8

12月12日 チェック

EM炭施用直後に降雪
4月11日撮影

 

 EM研究機構より試験圃場での土壌チェックについて報告がありました。土壌の総合評価結果、EM炭施用区の土壌の健康状態は良好で、EM炭を施用しないコントロール区よりも4.33ポイントの改善が見られました。また、EM炭の施用量が多いほど土壌の総合評価ポイントが高くなる傾向が見られました。下の図は、EM炭を施用してから6ヶ月後の土壌環境を示したもので、コントロール区は土壌が軽く、土・水・空気のバランスが悪いのに対し、EM炭施用区は理想的な土壌環境となっています。土壌の三相割合の基準である、固相(土)40%、液相(水)30%、気相(空気)30%くらいであり、適度な湿り気の圃場の土であることが分かりました。シナノゴールドが、3年ぶりに収穫できたことを裏付けるひとつの興味深いデータと言えるのではないでしょうか。

 

土壌環境
土壌内部の拡大イメージと土壌の三相割合